地方独立行政法人りんくう総合医療センター

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心臓血管外科

低侵襲心臓弁膜症手術 (MICS)

Minimally Invasive Cardiac Surgery (MICS、ミックス)とは、心臓弁膜症に対して、従来よりも体に対する影響を少なくして行う手術方法です。 その特徴について述べます。

1.胸骨を切開せずに右側胸部の小開胸創(4-6cm)で手術を行います

通常の心臓弁膜症手術は胸骨を縦に切開して行うため、キズは胸の中央にできます(図1)。一方でMICSでは右胸の男性では右乳頭よりもやや後下方に、女性では乳房の下縁にそれぞれキズができます(図2)。男女ともに正面からはほとんどキズは目立たず、特に女性では乳房下にキズが隠れることもあります。


図1

図2

2.通常の手術よりも優れている点(胸骨を切らないことによる優位点)

合併症が少ない
通常の胸骨を切開する手術に比べて、手術に伴う出血も少量で、キズの感染も少ないです。肋骨と肋骨の間(肋間)から手術を行いますが、肋骨はいっさい切らず、また3D内視鏡を用いて手術を行うと肋間を機械でこじ開ける必要がないため、術後の痛みがとても少ないです。

退院後の日常生活再開が早い
胸骨を切開すると、それが完全に治るまで通常2-3ヶ月程度かかります。そのため、その間は仕事で重いものを持ち上げたり、ゴルフやテニスなどの上半身を激しく用いるスポーツができません。一方、MICSでは胸骨を切開しないので同様の制限がありません。このことは早い社会復帰につながります。

3.通常の手術と変わらない点

心臓弁膜症手術は通常、人工心肺を用いて、一時的に心臓を止めて行いますが、MICSでも例外ではありません。キズが小さくてもこの点は通常手術と変わりません。

4.通常の手術よりも難しい点

小さなキズを通して手術を行うために、通常手術よりも難易度がやや高く、手術時間も少し長くなります。しかしながら、先にも述べたように術後は早く回復します。

5.適応手術

僧帽弁修復術、僧帽弁置換術、三尖弁輪縫縮術、メイズ手術、大動脈弁置換術、心房中隔欠損症など

6.適応とならない方

胸骨や肋骨などの形状や、足の動脈が細いなど、解剖学的な制約がある方、大動脈内の動脈硬化が強い方などMICSに不向きな方もいます。CTなどの検査でMICSの可否を判断します。

以上のように現役で仕事についている方、特に上半身を使う重労働をされる方、なるべく小さなキズを希望される方々にとってはとても価値のある手術方法です。弁膜症手術を勧められている方、迷っている方など、いつでもご相談ください。

大動脈疾患に対するカテーテル治療(ステントグラフト治療)

大動脈疾患(大動脈瘤や大動脈解離)に対する治療は、これまで外科手術が中心でした。これは開胸や開腹を伴う、体への負担が大きい治療法です。最近、大動脈疾患に対して「体にやさしい」カテーテル治療(ステントグラフト治療)が開発され、臨床応用されるようになりました。我が国では2006年に保険適応となり、急速に普及しつつあります。

当院では、大阪大学心臓血管外科大動脈チームと連携し、経験のあるスタッフを招聘し治療を行っております。

大阪南部(堺~泉州)、和歌山から広く患者様を受け入れて治療させて頂きます。

大動脈疾患に対する外科手術

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