地方独立行政法人りんくう総合医療センター

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病理診断科

基本情報

病理診断科とは

病理診断科とは、患者さんの体から採取した組織や細胞を染色し、顕微鏡で観察したり、組織の一部から遺伝子を増やし、がんの有無を検査している部門です。がんの診断では、様々な検査が開発され進歩している現在でも、ほとんどは病理診断によって確定診断がなされています。また、診断だけではなく現在、大変注目されている分子標的薬などの治療薬の効果の予測をし、治療の面においても大きく貢献しています。普段は患者さんと直接かかわることは少ない業務ですが、様々な診療科と連携し、業務に取り組んでいる部門です。

当院では医師2名、常勤4名、非常勤1名、事務員1名の計8名(このうち細胞検査士3名)が病理診断科として業務を行っています。

業務内容

病理組織診断

手術や内視鏡などで患者さんから摘出された組織を診断します。病変の良悪性だけではなく、必要に応じて病変の広がりや切除断端の評価もおこないます。

<主な工程>

① 固定
摘出された組織の腐敗を防ぎ、可能な限り摘出された時の新鮮な状態を保つために、ホルマリンに臓器を浸し、12~48時間かけておこないます。

② 切り出し
摘出した臓器をカセットの中に入れるために小さく切ります。

③ パラフィン浸透
組織を薄く切りやすくするために下の装置を用いておこないます。

 自動固定包埋装置(VIP6)

切り出しで小さく切ってカセットに詰めた組織を 脱水→脱アルコール→パラフィン浸透 の順で約19時間かけ自動で行います。

④ 包埋
パラフィン浸透が終わった組織を適した形のブロックにするために、約65℃のパラフィン組織の入った容器に流し込みます。

 包埋装置

装置の上部にパラフィンを貯蔵しているタンクがあり、下部のフィンガープレートを押すことでパラフィンが流れ出る仕組みとなっています。包埋装置の隣には-5℃の冷却台があり、そこで組織の入った容器を冷やし固めブロックにします。

⑤ 薄切
ブロックにした組織を3μm~4μm(3/1000~4/1000mm)の薄さで切り、スライドガラスの上にはりつけます。

 薄切装置(ユング式ミクロトーム)

ブロックにした組織をこの装置に設置し、刃のついている台を前後に移動させ組織を設定した厚さで切るために使用します。 

⑥ 染色
薄く切り、スライドガラスにはりつけた組織に染色液を用いて色をつけます。病理医の先生が診断するために染色には普通染色(HE染色)、特殊染色、免疫染色、蛍光染色など様々な染色法があります。

 自動染色装置

 薄切した切片を病理診断で基本となるHE染色(核が青色、細胞質がピンク色)という染色法を自動でおこなう装置です。また、細胞診のパパニコロウ染色もこの装置でおこないます。

 自動免疫染色装置

抗原抗体反応を応用した染色法で、各抗体のプロトコールを作成し、染色をおこなう装置。約170種類の抗体を使用し、染色することでがんの組織型の診断や治療薬の決定などに関わります。

⑦ 封入
染色した標本を保護するためにカバーガラスをはりつけます。

自動封入器

カバーガラスを自動ではりつける装置です。

⑧ 病理組織診断
作成した標本を病理医の先生が顕微鏡で見て、良悪性、治療の効果などを決めます。

※その他にも脂肪がたくさんある乳腺などはパラフィンが浸透しないので脂肪を抜く(脱脂)必要があります。また、骨などの硬い組織では薄く切るために柔らかくする(脱灰)必要があり、このような作業は数日から数週間かかることもあるので、病理診断は大変時間のかかる業務です。

術中迅速組織診

手術中に組織を採取して、良悪性の診断や病変の取り残しがないか(断端診断)、リンパ節への転移がないかなどを確認する目的で病理診断をおこないます。この時、患者さんが術中のため手術時間を短縮し、患者さんの負担を減らすために迅速かつ正確に診断する必要があります。術中迅速組織診は手術の質を評価するために重要な診断です。

クリオスタット(ミノー式ミクロトーム)

術中に摘出した腫瘍本体や断端、リンパ節などをコンパウンドで凍結させ、ブロックにした組織を横のハンドルを回転させ薄切する装置。庫内の温度は約-20℃で設定されており、コンパウンドで凍結させた組織が再度溶けないようになっています。

遺伝子増幅検出装置(OSNA法)

術中に摘出された乳がんの所属リンパ節を可溶化し、がん細胞にある遺伝子を増幅させ、増幅した時間からリンパ節へのがんの転移の有無を調べる装置(リアルタイムPCR)。

細胞診

肺がんや膀胱がんの場合、痰や尿などにがん細胞が排出されることがあります。そのため、これらのがんが疑われる時には痰や尿を採取し顕微鏡でがん細胞の有無を調べます。また、穿刺吸引細胞診は生検より細い針なので、出血が少なく、患者さんへの侵襲性が低い検査です。甲状腺などでは細胞診が確定診断になることもあります。ですが、組織塊の立体構造はわかりにくく、腫瘍の亜型分類には向いていません。

業務内容

<主な工程>

① 検体採取

  • 各臓器で適切な方法で細胞を採取します。

    ・穿刺吸引細胞診
    エコーやCTガイド下で病変部を観察し、針を用いて病変部を刺し、抜き取って細胞を採取します。
    甲状腺、唾液腺、乳腺、肺、リンパ節など。

    ・擦過細胞診
    綿棒や専用のブラシで病変部をこすり、採取した細胞をスライドガラスの上に薄く塗り付けます(塗抹)。
    子宮頸部、膣部、子宮内膜、気管支など。

    ・自然剥離細胞診
    自然に剥がれ落ちてきた細胞を集め標本を作製します。
    喀痰、尿、体腔液(胸水、腹水、心嚢液)、髄液など

    ・洗浄細胞診
    気管支鏡検査や手術中に、生理食塩水などで腹膜や胸膜を洗って、吸い出した液から細胞を採取します。

    ・膀胱洗浄液、気管支肺胞洗浄液、体腔洗浄液。

    ②標本作製
    提出された検体の粘稠度や細胞量などを考え、適切な方法で標本を作製します。

    ③固定
    病理組織診ではホルマリンを使用しますが、細胞診では95%エタノールを使用します。標本作製から固定までの時間で、染色の品質が大きく変わってしまうため、標本作製後は直ちに固定する必要があります。

    ④染色
    細胞診では、パパニコロウ染色という染色法を用いて細胞を染色します。また、必要に応じてギムザ染色など様々な染色をしています。

    ⑤診断
    細胞検査士が標本の隅々まで観察し、良悪性の判定をおこないます。この時、細胞検査士がダブルチェックをおこない見逃しがないようにしています。判定をおこなった標本から悪性が疑われる標本を病理医の先生に提出し、病理医の先生が良悪性の診断をおこないます。

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