地方独立行政法人りんくう総合医療センター

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3.インシデント・アクシデント報告件数の推移と内訳

3.インシデント・アクシデント報告件数の推移と内訳

マスコミなどで医療事故といえば医療者に重大ミスがあった事象と捉えられがちです。 しかし病院内では患者様に影響があった事象について医療ミスの有無に関わらず、また患者様へ実施に至らなかった事象についても「医療事故」(ヒヤリハットを含むインシデント)として積極的に報告するように取り組んでいます。

レベル0・1・2は安全確認作業で、間違いを回避できた、あるいは早期発見により健康被害がなかった報告です。 例えば、入院生活中に病室や通路などで転倒、あるいは患者様が薬剤を飲み忘れたが実害がなかった場合などもこれに含まれます。

2022年度のインシデント・アクシデントの総件数は3305件で2021年度の3410件に比べ105件(3.07%)の減少となりました。 その内容を身体影響レベル別で整理すると、0レベルでは200件減少し、1レベルは増減なし、2レベルは115件の増加、3aレベルでは10件減少しています。

健康への影響度の大きいとされる3bレベルでは2件減少し、4レベルでの報告件数は1件増加、5レベルでの報告件数は3件増加となっています。

3bレベルの個別内容では、転倒転落による骨折や頭蓋内出血、中心静脈カテーテル留置の際のガイドワイヤーの遺残、異物除去術の際の異物残存といった内容での事象が発生しています。

4レベルでは嘔吐物誤嚥窒息という内容の事象が発生し、心肺蘇生処置を実施しました。

5レベルでは院内での墜落事故、ベッドからの転落による頭蓋内出血の事象が発生し、緊急検査、心肺蘇生処置を実施しました。

転倒転落の事象では、終日医療スタッフが患者の傍にいることは不可能であり、システム的な防止対策が非常に困難な領域であると考えられますが、患者様の状態をアセスメントし身体拘束を除く可能な限りの対策を講じていく所存です。それ以外の事象についても、防止対策の十分な検討を行い、改善しました。

安全対策として「人はエラーを起こす動物」を前提に医療者のエラーの低減のための取り組みがされてきました。 これにより、医療の安全性は向上したと考えます。更に医療の安全性を高めるためには、事象と患者の特性を考慮した対策について展開される必要があると考えます。

一般的に人口統計では高齢者の占める割合が増えており、患者層の高齢化が更に進むとされています。 当院の入院患者における高齢者の割合を2018年度と2022年度の5年間で比較すると65歳以上は51.3%から56.5%に5.2%増加、75歳以上では29.6%から35.5%へと5.9%増加しており、着実に入院患者の高齢化は進んでいます。

よって高齢者の思考や行動特性を考慮して観察や対応を行い事故防止に努める必要があります。 高齢患者は入院直後や術後にせん妄になりやすいことや、安静により筋力や体力が低下しやすいなどの特性があり、転倒やチューブ抜去に至りやすくなるため、これらへの対応を強化する必要があると考えます。 また高齢者は複数の疾患を患っていることがあり、体力などの予備力の低下から重症化しやすいといえます。病院が組織として安全な医療の提供を行うためマニュアルやルールを策定し、それを医療スタッフが遵守するとともに 患者および家族が、高齢患者の入院生活で発生しやすいリスクについて理解し、治療への納得と参画が得られるようにインフォームドコンセントを強化し、パートナーシップを推進することが重要と考えています。

(表1)りんくう総合医療センター医療事故統計 年次推移
  2018年度  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
レベル0 440  495 500 643 443
レベル1 2512 2693

2482

2245 2245
レベル2 587 532 637 416 531
レベル3a 19 28 19 23 13
レベル3b 5 9 9 9 7
レベル4

0

0 0 0 1
レベル5 0 0 2 0 3
合併症 9 11 10 13 18
不明・その他 48 61 48 61 44
合計 3620 3829 3707 3410 3305
 
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