地方独立行政法人りんくう総合医療センター

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脳神経外科トピックス

最近の脳神経外科トピックス

1.脳神経センターNewsを創刊しました。

2011年5月、脳神経センターNEWSを創刊しました。
今後、脳神経センターよりさまざまな情報提供に努めてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

2.脳神経外科専門医と神経内科医(脳卒中専門医)が協力し、脳神経外科疾患の専門性の高い診断、治療を提供しております。

りんくう総合医療センターの脳神経外科専門医と神経内科医(脳卒中専門医)、第3次救命センターの泉州救命センターの脳神経外科専門医が協力し、脳外科疾患の診療を行う体勢です。
脳神経外科疾患を扱う病院としては、泉州地域で最も充実した病院となっております。 脳脊髄腫瘍、脳卒中、パーキンソン病などの脳神経外科疾患に対し、専門性の高い治療を提供しております。 ニューロナビゲーター、神経内視鏡等の導入による安全で確実性の高い手術の提供、脳卒中に対する24時間体勢での対応などを行っております。

3.より安全、確実な脳腫瘍手術を可能にする「手術ナビ」を導入しました。

人間の臓器で最も繊細である脳。脳腫瘍治療の究極は切らないで治すことは言うまでもありません。
しかしながら、現在の医療では、未だ、手術により病巣を切除することが、重要な位置を占めております。良性腫瘍であれば、手術による全摘出により、一発完治も可能です。 悪性腫瘍では、全摘出により、生命予後改善がより良く認められるという報告は数多くあります。 この重要な位置を占める手術を、より安全、確実にする手術支援装置にニューロナビゲーターがあります。平成21年度、当院にニューロナビゲーターが導入されることになりました。
「ニューロナビゲーター」は手術支援装置であり、脳内の海図の役割を果たします。 手術前にMRIやCT画像を取り込んでおき、手術台の患者の鼻、両耳を触れ、パソコンに頭部の位置情報を覚えさせます。 センサーを脳内に入れると、その場所がモニターの画像上に示される仕組みです(下図参照)。 衛星から見た位置情報と画面上の地図を合わせ、どこにいるかを示す乗用車の「カーナビ」に近いものです。 この装置により、かつて医師の”職人技”が頼りだった脳腫瘍手術が、客観的で確実にできるようになりました。
当院の装置の特徴は、CTやMRI画像撮影時に、頭皮上のマーカーを必要とせず、外来検査でもデータ取り込みが可能なことです。 特に、聞き分けのない幼小児においても、マーカー不要ですので、容易に使える利点があります。

ニューロナビゲーター
ニューロナビゲーター
4.24時間対応の脳卒中救急体勢

脳卒中は突然に次のような症状で発症します。
①片方の手足、顔半分の麻痺・しびれ
②ロレツが回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない
③力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする。
④片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける
⑤経験したことのない激しい頭痛がする。
このような症状が起こった場合は一刻も早く「119番」または当院に御連絡下さい。24時間対応の脳外科の救急体制をしいております。 平日夜間は脳卒中専門の当直が常時待機しており、土日休日はオンコール体勢で対応いたしております。
急性期から慢性期まで、脳外科手術、血管内治療は当然のことながら、リハビリを含めトータルな治療を提供しております。

5.血管内治療を安全に行うために最新の血管撮影装置を導入しました。

脳血管内治療は道具(デバイス)の進歩により急速な発展をとげ、対象疾患も動脈瘤、動脈閉塞/狭窄、硬膜動静脈瘻、脳動静脈奇形、脳腫瘍とその適応を拡げ、中枢神経系および頭頚部血管系の治療分野としては不可欠の治療法となっております。 今や脳血管内治療は血管障害の治療分野において、その機軸としての役割を担うまでになっています。 このような重要な治療をより安全に、かつ確実に行うためには低い被曝で、高品質な画像を得ることができる血管撮影装置が必要不可欠となります。 
平成20年度より飛躍的な画質向上と被ばくの低減が期待できるフラットパネルディテクター(FPD)を搭載した血管撮影装置を導入しております。 この装置により歪みのないクリアな撮像が可能になり、細かな血管やカテーテルなどの治療器具も鮮明に画像化できるため、血管内治療をより的確かつ安全に行うことができるようになっております。

ラットパネルディテクター(FPD)を搭載した血管撮影装置
フラットパネルディテクター(FPD)を搭載した血管撮影装置

 

膠芽腫に対する腫瘍治療電場療法について

腫瘍治療電場療法(製品名:オプチューン®)は膠芽腫に対する新しい治療法として開発されたものです。この治療は脳内に特殊な電場を発生させて腫瘍増殖を抑制する、膠芽腫に対する新たな治療方法です。初回手術後に膠芽腫と診断されて、初期治療の放射線療法、それと併用して行われる化学療法 (テモゾロミド)を終了した膠芽腫の患者さんに維持療法として使用される治療機器です。

治療実績について(症例数)

2017年12月度に初発膠芽腫の成人患者への保険適用が承認されて以降、日本では累計350例以上、アメリカでは累計1万例を超えています(2020年1月時点)。

治療実績について(臨床成績)

この治療はEF-14という臨床試験でその有効性が示されました。初発膠芽腫患者695人を対象としてテモゾロミド+オプチューン®の併用療法を、テモゾロミドの単独療法と比較したところ、テモゾロミド+オプチューン®の併用療法を受けた患者は、テモゾロミドの単独療法を受けた患者と比較して、新たな副作用を伴わずに全生存期間の有意な延長が証明されました(テモゾロミド単独療法16.0ヶ月に対してテモゾロミド+オプチューン®併用療法20.9ヶ月)。オプチューン®治療を受けた患者が、テモゾロミド単独療法を受けた患者と比較して、より長期にわたってQOLを維持できたことも示されました。この結果に基づき、欧米ではこの治療法が行われるようになり、日本でも2015年に薬事承認され、2017年12月より成人の初発膠芽腫を対象に保険診療の認可がおりています。

オプチューン治療中の生活

オプチューン®は、電場を作り出す粘着性シートに取り付けられたセラミック製の電極パッド(アレイ)を、頭髪をきれいに剃った頭部に4枚貼り付けることで脳内に治療電場を作り出し、急速に増殖を繰り返す膠芽腫の細胞分裂を阻害することで、腫瘍細胞を抑えるように作用します。 アレイは1週間に2回程度貼り替えます。一人でアレイを貼り替えるのは難しいので、治療協力者の補助が必要です。基本的に自宅で行う治療です。バッテリーで作動する携帯タイプの医療機器で、昼夜を問わず継続して長時間使用することができるように設計されています。可能な限りの継続的治療が推奨されるため、頭皮の副作用を避けて、できるだけ継続して(少なくとも4週間以上の継続的使用 / 使用時間率75%以上)治療を続けることが大切です。

有害事象

オプチューンの主な副作用は、アレイの貼付箇所の皮膚炎症です。臨床試験では約半数に皮膚障害が生じたことが報告されましたが、症状はいずれも軽度から中程度のもので、局所的な対応や治療を一時的に中断することで対処できました。化学療法などで見られる吐き気や食欲不振、血球数の減少などの全身性の副作用が少なく、体に負担の少ない治療法です。
稀に頭痛、脱力、転倒、疲労、筋攣縮、皮膚潰瘍が生じることがあります。

入院期間・費用は?

基本的に自宅で治療を行います。治療開始の時に機器の取り扱いについて外来で医師から説明します。機器のサポートは業者が行います。
費用は初発膠芽腫に限り、保険診療の範囲内で治療が可能です。
※費用は高額療養費の対象になります。
健康保険や国民健康保険加入者が、同じ月内に同じ医療機関に支払う医療費の自己負担額(食事の費用・自費分は除く)が高額になった場合は、限度額の認定証の交付を受け、入院事務担当者にご提示いただくと、病院窓口での自己負担額が限度額までの金額となります。(70歳未満の方が対象で、健康保険組合や国保窓口に事前に申請が必要です。)
詳しくは当院 医療マネジメント課 までお問い合わせください。

当院ではオプチューン使用のための認定講習を修了したスタッフがおり、積極的にオプチューン® (NovoTTF-100Aシステム)治療に取り組んでおります。詳しい説明や治療をご希望される患者様は、脳神経外科外来(担当 出原)を予約の上、受診してください。またその際にはかかりつけの先生からの紹介状をご持参ください。

外来診療受付時間

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