地方独立行政法人りんくう総合医療センター

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全般のお知らせ

2025年11月21日 全般

当センター産婦人科グループによる研究論文が大阪医学 大阪府医師会長賞を受賞しました。

【筆頭著者 中前亜季子先生から】
このたび、大阪府医師会より会長賞をいただくことができました。
今回の研究では、COVID-19(SARS-CoV-2)パンデミックの状況下でも、当院で続けてきたユニバーサルスクリーニングなどの一般的な感染対策により、妊婦さんと赤ちゃんの産科合併症を増やすことなく安全な分娩管理を実施できていたことを周産期データから示しました。感染対策が段階的に緩和され、偽陰性者を厳密に特定することが難しくなった今、この知見は、将来新たな感染症が流行した際の妊産婦医療にも役立つものと考えています。コロナ禍が過去の話として扱われている今だからこそ、将来の有事に対して、重要な意味を持つ研究だと思っています。
今回受賞することができたのは、初めての研究発表・論文執筆を指導して下さった古谷毅一郎先生、専攻医研修中私をサポートして下さった荻田和秀先生をはじめとするりんくう産婦人科の先生方・スタッフの皆さん全員のおかげです。心より感謝申し上げます。
これからも、妊婦さんとご家族が安心して出産に臨める医療を提供できるよう、努力を続けてまいります。ありがとうございました。    

産婦人科 中前亜季子

【指導医・研究代表者 古谷毅一郎先生から】
去る2025/11/9(日)に開催された大阪府医師会医学会総会において、昨年3月まで当院産婦人科専攻医だった中前亜季子先生(現 大阪警察病院産婦人科)を筆頭著者に大阪府医師会雑誌「大阪医学」に今年掲載されたCOVID-19関連の論文「SARS-CoV-2スクリーニング偽陰性妊婦が周産期アウトカムに与えうる影響の検証」が、今年度の最優秀論文として、「大阪医学 大阪府医師会長賞」を受賞致しました。
“一般的感染対策の一つである、入院・分娩前コロナチェック(ユニバーサルスクリーニング)がきちんと機能し、パンデミック下でも安全な分娩管理が実施可能だったこと”を示した中前先生の論文が高く評価されたものです。本当におめでとうございました。この検証には、1000人以上の分娩データが必要でしたが、中前先生は粘り強く解析を続け、最終的に「世間が漠然と恐れている潜在的な感染者リスクは産科領域では認められないこと」、つまり、「入院前のコロナチェックなどの一般的な感染対策下なら、パンデミック下でも安全な分娩管理が実施できていたこと」を示唆する結果を、様々な側面から証明してくれました。本研究は、今後生じうる新たなパンデミック・有事における周産期医療・感染対策に貢献するものと考えます。
大阪府医師会館での授賞式は大変格調高い雰囲気で行われ、大阪府医師会の加納康至会長から中前先生へ立派な賞状が授与されました。多忙な産婦人科専攻医研修中・阪大異動後も私と何度もディスカッション/推敲を重ね、粘り強く論文を完成させた中前先生の姿を授賞式典中に思い出し、大変誇らしい気持ちとともに、研究代表者・論文指導者としてまさに感無量の瞬間でした。 
本受賞は、中前先生の地道な努力と本研究の臨床的意義が関西の偉大な先生方に認められた証であり、大阪の新型コロナ妊産婦診療をパンデミック初頭から支えてきた当院・周産期チームにとっても大きな勲章となりました。また、今回の受賞審査担当は全て元医学部教授の先生方であり、中前先生ご本人の評価にもつながると確信しています。
当院はパンデミック初頭からコロナ感染妊婦さんの母体搬送を数多く受け入れ、本邦に先駆けて隔離下での正常分娩(経腟分娩)管理を実施しつつ、母体救命搬送受け入れ体制も維持してきましたが、コロナ禍でも平時と同様の「火事場に手を突っ込む」医療を実現可能な環境を整備して下さった、産科荻田和秀部長・感染症内科倭正也部長・周産期医療に関わる全ての皆様の努力が、本研究・受賞の強力な基盤となりました。研究代表者として改めて感謝申し上げる次第です。
最後に、中前先生の今後のご活躍・ご発展を泉州からお祈りしています。この度は素晴らしい受賞、本当におめでとうございました!    

りんくう総合医療センター産婦人科 副部長 
古谷毅一郎


大阪府医師会 加納会長から中前先生へ賞状授与

大阪府医師会 加納会長と共に記念撮影

中前先生(筆頭著者)

中前先生と古谷副部長(責任著者・研究代表)

古谷副部長・加納会長・荻原先生(森ノ宮医療大学名誉学長)

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