病院長挨拶
病院長挨拶
病院長 福田 宏嗣 よりご挨拶

信頼される医療を、次の段階へ
このたび、獨協医科大学心臓・血管外科学講座 主任教授を定年退職し、りんくう総合医療センターの病院長を拝命いたしました福田 宏嗣(ふくだ ひろつぐ)と申します。まずは、日頃より当センターの医療を支えて頂いている地域の皆さま、関係医療機関・行政の皆さま、そして日々現場で奮闘されている職員一人ひとりに、心より感謝申し上げます。
私は大学病院において、診療・研究とともに医療人材の育成に携わり、副院長として病院運営・経営の改善にも関わってまいりました。現場の経験に基づいた知恵とデータの両方を大切にしながら、受診される方の安心につながる形で改善を進めます。また、患者さん・地域の皆さまの声にも耳を傾けたいと思います。
泉南地域では今後しばらく医療の需要が高まり、特に急な病気やけがへの対応と、回復までを支える医療への期待が大きくなると見込まれます。私たちは大阪南部の『最後の砦』として、救急医療を中心に、周産期に関わる医療、感染症や災害時の診療まで、地域に必要な医療を確実に届ける責務があります。その責務を果たすために、当センターがこれまで積み重ねてきた取り組みを土台に、良いところは守り、足りないところは補い、さらに磨き上げてまいります。
良質な医療を提供するうえで医療の質と安全が重要であり、これは理念であると同時に、日々の手順と文化です。説明責任を果たし、患者さん・ご家族の納得と尊厳を守る。この当たり前のことを全部署共通の取り組みとして推進いたします。治療の内容や選択肢、見通しをわかりやすい言葉でお伝えし、質問しやすい雰囲気を整えます。また、やり方をそろえて事故の芽を減らし、ヒヤリとした経験から学び、職種を越えて情報を共有して判断の質を高めます。私は外科医として「最後まで諦めない医療」の重みを経験してきました。しかしその姿勢は医療者の独善的な価値観に陥る危険性も経験してきました。現在は患者中心の医療の考え方として共同意思決定(shared decision making)があります。これは医療者と患者が最新の科学的根拠(エビデンス)と、患者自身の価値観や生活状況をすり合わせ、「納得のいく治療方針を共に決めていくプロセス」を指します。時間のかかることですが、特定の診療科だけでなくすべての領域に通底する価値として根づかせたいと考えています。
当センターの重要なミッションの一つである新興感染症や大規模災害など有事への備えは、平時の準備と訓練の積み重ねが重要です。行政・消防をはじめ関係機関と連携し、病床・物資・人員の運用、情報共有の方法、連絡体制を磨き、地域の危機管理医療を支えるハブとしての責務を果たします。
一方で、医師・看護師等の確保、物価高騰、働き方改革への対応など、医療機関を取り巻く環境は厳しさを増しています。それでも、必要な医療を必要な時に提供し続けるために、持続可能な病院運営に取り組みます。無駄を減らし、データも活用しながら、患者さんにとって使いやすく、職員にとって続けられる仕組みへ整えていきます。改革は、トップダウンだけでは進みません。率直な対話と透明性を大切にし、現場が誇りを持ち、安心して改善案を出せる風土を育てます。働き方改革も、単なる制約ではなく、診療の持続性を高める機会として、勤務環境の改善に正面から取り組みます。
医療は一人では完結しません。かかりつけ医の先生方、近隣の病院・施設、救急隊、行政、そして住民の皆さまと力を合わせ、役割分担と連携を深め、切れ目のない医療・ケアを形にしていきます。
就任にあたり、私が最も大切にしたいのは「信頼」です。患者さん・ご家族が安心して身を委ねられる医療、地域が誇れる病院、そして職員が胸を張って働ける病院を目指し、原点に立ち返り、誠実に、そして力強く前進いたします。今後とも、変わらぬご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2026年(令和8年)4月
地方独立行政法人 りんくう総合医療センター
病院長 福田 宏嗣




