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脳神経外科
脳出血患者管理のガイドライン

American Heart Association 脳出血患者管理のガイドライン

脳出血の発生頻度はクモ膜下出血の約2倍であり,脳梗塞やクモ膜下出血に比べ,死亡例や重度の障害を残す例が多い。 1995年までで急性期脳卒中の治療に関する臨床治験は315を越え,クモ膜下出血では78を数えるが,脳出血に関しては外科的または内科的治療に関する治験は小規模なものがそれぞれ4つずつ行われたにすぎない。これらの小規模治験の結果では外科的治療によっても内科的治療によっても脳出血患者に対して決定的な治療法は見つからなかった。
高齢,高血圧は脳出血の最も重要なリスクファクターである。脳出血は女性よりもやや男性が多く,若年層,壮年層では白色人種よりも黒色人種に多い。欧米に比べアジアの方が脳出血の発生率が高い。脳出血の最大の原因は小動脈,細動脈が高血圧にさらされることによって病態生理学的に変化することであると一般に考えられている。高齢になると脳アミロイド血管障害が脳葉型脳出血の原因として増えてくる。その他の脳出血の原因としては血管奇形,破裂動脈瘤,凝固異常,抗凝固剤,線溶剤の使用,出血性脳梗塞,腫瘍内出血,薬物乱用などが含まれる。
1997年にアメリカで発生した脳出血は約37000と見積もられるが,このうち,35%から52%が発症から1ヶ月で死亡している。死亡例の約半数は発症から2週間以内の死亡である。発症1ヶ月で介助不要なまでに日常生活に復帰できたのは10%にすぎず,2ヶ月でも20%である。
脳出血に関しての内科的治療指針,外科的治療指針はあるが,全世界を通じて神経内科医,脳神経外科医の脳出血患者の管理に関しては多種多様である。脳出血を外科的に除去することが有用とは証明されていないにも関わらず,アメリカでは1年に約7000例の脳出血に対する手術が行われている。
よく遭遇する疾患で破壊的な結果をもたらすにも関わらず,明確な治療指針のない脳出血という疾患に対し,今回AHAでは脳出血患者の治療指針を作成し,今後の研究課題を提示した。これまでのAHAが出してきたガイドラインでも使用してきたように,個々のデータの信頼性をランク付けすることで(表1),単なる症例報告から条件のそろった治験結果までの信頼度をわかりやすく判別できるようにした。脳出血に関する治験の数を限定し,どのような治療に対しても推奨事項を厳密に提示した。今回のガイドラインはこのように今後の治験の基盤となりうるものであり,また必ず必要となってくるものである。

脳出血の急性期診断とその原因

古典的には脳出血の臨床症状としては突然,神経脱落症状が出現し,それが数分から数時間で進行していき,頭痛,嘔気,嘔吐,意識障害,血圧上昇などを伴うとされている。Harvard Stroke RegistryおよびMichael Reese Stroke Registryによれば51%から63%の脳出血症例で神経症状の進行は緩やかで,しかも34%ないし38%の患者で発症時に症状が完成していたという。比較までに,種々の脳虚血発作では5%から20%のみが,またクモ膜下出血の14から18%で神経症状の進行が緩やかであった。脳出血患者の多くは,発症早期の神経症状の増悪はたいてい,はじめの数時間の間に出血が続き,血腫が増大することによる。
脳出血の患者では起床時に症状が出現しているということは少ない(15%程度)。発症早期の意識障害は脳出血例の50%に見られるが,虚血性卒中ではあまり見られない。脳出血例の約40%に頭痛を伴うのに対し,虚血性卒中例では17%である。嘔吐は,血腫が大脳半球にある場合特に重要な診断徴候である。Harvard Stroke Registryによればテント上出血例の49%に嘔吐が見られたのに対し,頸動脈領域の虚血例では2%にすぎず,クモ膜下出血例では45%であった。嘔吐は,後頭蓋窩の卒中ではどのタイプのものでも一般的にみられる症状である。脳出血例の90%で血圧上昇が見られ,時に異常高値を示す。てんかん発作は脳出血例の6%から7%に認められるにすぎず,深部出血よりも脳葉型出血例でよくみられる。
救命救急士や家族から聴取できる病歴聴取では,可能性のある原因として頭部外傷の有無に注意しなければならない。しかしながら患者が一人で居るときに発症したり,意識障害で発見されたときには頭部外傷が原因かどうかの判断は困難である。このほかに病歴聴取の際は高血圧の既往,抗凝固剤や線溶剤の使用の有無,不法薬物の使用,過度のアルコール摂取,血液学的異常など他に脳出血を引き起こす要因がないかに注意すべきである。
出血例と虚血例の臨床像に差異はあるが,臨床所見の収集は画像診断に取って代われるものではない。CTは初期診断の鍵となる検査である。第一にCTにより出血か虚血かを明確に鑑別できる。さらにCTでは出血の大きさと部位を知ることができ,動脈瘤や動静脈奇形,脳腫瘍などの脳出血の原因となりうる異常を明らかにできることもあり,脳ヘルニアや脳室内出血,水頭症といった合併症の診断も可能である。造影剤の投与により血管異常が明らかになることもある。
臨床医はCT上の血腫の部位,画像上の構造異常,高血圧,年齢といった要因などから,出血の原因を推測する。被殻,淡蒼球,視床,内包,深部脳室周囲白質,橋および小脳の出血で,特に高血圧の既往のある患者では,高血圧性の小血管性病変が原因とされることが多い。これとは対照的に高齢患者の脳葉型出血の場合,アミロイド血管障害が原因と考えられることが多い。これらの予想は間違っている可能性もある。たとえば高齢者を含めて脳葉型出血の大半が高血圧の既往を持っている。また微細な血管奇形が深部出血や脳葉型出血の原因となる可能性もある。
Halpinらは10歳から70歳までの平均49歳の脳出血例において,血管造影の役割につき検討している。構造的に異常を疑わせるCT所見としては,クモ膜下出血や脳室内出血,脳内異常石灰化,顕著な血管構造,出血の部位(例:シルビウス裂周囲の出血)などであった。これらの所見を呈した44例のうち,38例で血管造影を行っている。血管造影所見としては38例中32例(84%)に異常を認めた。その内訳は動静脈奇形23例,動脈瘤9例である。6例は臨床的な理由から血管造影を行っておらず,残りの6例は正常であった。58例がCT所見上構造的に異常を疑わせなかったが,後にそのうちの42例に対し血管造影を行っている。このうちの10例(24%)で異常が見つかり,動静脈奇形が8例(19%),動脈瘤が2例(5%)であった。Zhuらによる脳出血例での血管造影の検討で,彼らは高血圧の既往を持つ45歳以上の症例で,視床,被殻,あるいは後頭蓋窩の出血例では,血管異常が見つかる可能性は低いとしている。
血管造影をいつ行うかに関しては,それが必要であれば,患者の状態,手術の緊急性に対する脳外科医の決断に委ねられる。たとえば,大きな脳葉型出血の若年例で,急性に脳ヘルニアを呈している症例は血管造影の候補とはならない。逆に状態の安定した高齢患者で,小さな側頭葉の出血で,巣症状も軽く,CT上動静脈奇形を疑わせるのであれば,血腫除去の前に血管造影を行うべきである。
MRIおよびMRAは動静脈奇形や動脈瘤といった異常の検索に対し,有用なもう一つの手段である。MRIでは小さな血管奇形や動脈瘤を描出できないこともあるが,海綿状血管腫の検索に対してはCTや血管造影以上に優れている。またMRIにより血腫の時間的推移が詳細にわかる。
以上のほかに診断上有用なものとして総血球数,プロトロンビン時間,賦活化部分トロンボプラスチン時間,電解質,心電図,胸部エックス線などがある。心内膜炎に伴う出血の場合ように,白血球数を調べることで感染の有無を検索できる。ヘモグロビン量は診断の手がかりとなることもあるし,血液喪失量の指標となる。プロトロンビン時間,賦活化部分トロンボプラスチン時間により凝固異常に関する情報が得られ,それが医原性のものか後天性のものかの判断材料となりうる。電解質からは脳出血の原因として考えられる腎不全の診断が可能であったり,脳出血に伴うナトリウム異常を判断しうる。心電図をみれば不整脈の有無,脳出血に伴う心筋虚血が明らかとなる。胸部エックス線所見より,誤嚥性肺炎の有無や合併症として生じうる他の肺疾患を検索する。

脳出血の診断:まとめと推奨事項

  • 脳出血は早期に神経学的増悪や死に至る可能性が非常に高い救急疾患である。嘔吐や短時間での意識レベルの低下,血圧上昇を認める脳卒中患者は脳出血である可能性が高い。
  • CTは脳出血が疑われる症例において初期の検査として選択するべきである(信頼度レベル1,推奨グレードA)。
  • 手術の必要性が示唆され,特に状態の落ち着いている若年症例で高血圧の既往のない場合は,全例血管造影を考慮すべきである(信頼度レベル5,推奨グレードC)。
  • 高齢の脳出血例で,高血圧の既往があり,出血部位が基底核,視床,小脳,脳幹のいずれかであり,CT上構造的な異常を認めなければ,血管造影は必要ではない(信頼度レベル5,推奨グレードC)。
  • 血管造影が必要な場合,それをいつ行うかは,その患者の状態,手術の緊急性を考慮した上での脳外科医の判断に委ねられる。
  • MRIおよびMRAは有用な検査であり,症例によっては血管造影に取って代わる可能性のあるものである。高血圧の既往のない脳葉型出血例で,血管造影上異常を認めず,しかも手術の適応がある場合には,海綿状血管腫を疑い,MRI,MRAを施行すべきである(信頼度レベル5,推奨グレードC)。

脳出血の急性期治療

脳出血に対して,内科的あるいは外科的治療で,有用性の示されたものがないために,臨床医の間で行われている治療は内科的にも外科的にも多岐にわたっている。不十分なデータしか得られないような治験を基に作成されたガイドラインは,よくても不確実なものでしかなく,悪ければ誤りであることすらある。が,そのようなデータから,現時点では今後の研究課題を浮き彫りにしながら,理にかなった治療方針を作成することは可能である。いずれにせよ,脳出血に関して条件のそろった治験が早急になされるべきである。

救急部における初期管理

初期管理においてはまず,気道,呼吸,循環動態に注意を払い,巣症状の有無を検索する。加えて,特に注意すべきこととして,外傷がないかどうかを調べる。また,圧痛,コンパートメント症候群,遷延性意識障害患者での横紋筋融解症といった合併症の検索も完全にしておかなければならない。

気道確保,酸素投与

気管内挿管は全ての症例で必要というわけではないが,気道確保ならびに適切な換気は最重要項目である。意識障害を呈していたり,脳幹障害が示唆される場合は積極的な呼吸管理を行っていく。気管内挿管の必要性は,Glasgow Coma Scaleのようなカットオフポイントで決定するのではなく,呼吸状態の悪化の有無で決定する。低酸素状態(pO2<60mmHgあるいはpCO2>50mmHg)の場合や,血液酸素化の程度に関係なく,誤嚥の危険性が高い場合が,気管内挿管の適応となる。経口挿管は各施設での手順に乗っ取って注意深く行わなければならない。すなわち,挿管前の十分な酸素化,不整脈や血圧変動を抑制するための薬剤投与(アトロピン,チオペンタール,ミダゾラム,プロポフォール,サクシニルコリンなど)を行う。胃内容物の誤嚥に対しては常に注意しておかなければならない。挿管患者では全例胃管を挿入して誤嚥を予防し,カフ圧を6時間おきにチェックする。ソフトカフ付きの挿管チューブであれば,一般に2週間前後挿管しておける。昏睡状態が続いたり,肺合併症を生じた場合には,2週間前後の後に気管切開を行う。脳出血の可能性がある患者には全例酸素投与を行う。

内科的管理:無作為治験

これまで,脳出血の内科的治療に関して小規模な無作為治験が4回行われている。それらは,ステロイド投与に関するものが2回,血液希釈療法に関して1回,グリセオールに関して1回の計4回である。どの結果からもプラセボ群と比べ有効な治療法ではなかった。Poungvarinらによれば,ステロイド使用群の方が有意に感染性合併症が多かったという。このように内科的治療のガイドラインは臨床の現場での脳出血患者治療の経験だけでなく,ニューロICUにおける急性疾患患者の一般的な治療指針に基づいている。

血圧管理

患者の理想的な血圧は慢性的な高血圧,頭蓋内圧亢進,年齢,予想される出血の原因,発症からの経過時間といった個々の因子により決定される。一般的に脳出血患者においては血圧上昇があった場合,虚血性疾患患者よりも積極的に血圧を下げることが推奨されている。血圧を下げることの意義は理論的には小動脈からの出血の進行を減らすことである。血腫量の増大に関しての研究報告では,ベースラインの血圧と,血腫の増大との間に相関は見られなかった。しかしながら,この報告においては,早期に降圧剤を使用することにより,相関があってもそれがはっきりしないものになってしまっている。逆に過度の血圧降下は脳灌流圧の減少を招き,脳障害を悪化させる可能性があり,特に頭蓋内圧が亢進している場合はそうである。
これら2つの理論的根拠を満足させるべく,我々は高血圧の既往のある患者においては平均動脈血圧を130mmHgよりも低く管理することを勧めている。脳圧モニターの入っている患者で,頭蓋内圧が亢進している場合は,脳灌流圧を70mmHgよりも高く保たなければならない。術後急性期においては,平均動脈圧が110mmHgよりも高くならないように注意する。もし収縮期血圧が90mmHgを下回るようであれば,昇圧薬の投与が必要である。脳出血患者の血圧管理において,降圧剤,昇圧剤をどのように使用すべきかを表2に示す。
ニトロプルシドは血圧上昇時に非常によく使われる薬剤であるが,血管拡張薬であり,理論的には脳灌流血液量を増加させ,それにより頭蓋内圧を亢進させる。しかしながら,この副作用に関して臨床的には依然証明されてはいない。

頭蓋内圧亢進に対する管理

頭蓋内圧は脳出血後の死亡原因の主たるものと考えられており,そのコントロールは不可欠である。頭蓋内圧は浸透圧治療により管理され,過換気,バルビツレート昏睡によりコントロールされる。
頭蓋内圧亢進状態とは5分間以上頭蓋内圧が20mmHgを越えるものと定義される。頭蓋内圧亢進に対する治療の最終目標は頭蓋内圧を20mmHg未満に下げ,脳灌流圧を70mmHg以上に保つことである。理想的な頭位は頭蓋内圧の程度により調節されるべきである。頭蓋内圧亢進が疑われ,意識レベルの低下が見られる場合には,脳圧モニターの適応である。脳圧モニターが必要なほどのGCSスコアの場合,CTでmass effectや水頭症が明らかであるなどの状態である。脳圧モニターは一般にGCSスコアが9を切る患者に留置され(これに限定するものではないが),また頭蓋内圧の亢進が原因で状態が悪くなってきていると思われる場合は全例に留置しなければならない。モニターの種類は使いやすさ,値段,状況に応じて選べばよい。脳室内圧モニターと実質内留置型ガラスファイバーモニターは両者ともよく用いられている。
血腫のmass effectに加えて,2次性水頭症も頭蓋内圧亢進の原因となりうる。水頭症を呈しているあるいは水頭症の危険性がある患者には脳室ドレナージ術を行う。ドレナージをいつ始めて,いつまで行うかは,臨床症状,頭蓋内圧の値から判断する。外ドレナージでは感染の合併があるためシステムを定期的にチェックし,留置期間は理想としては7日間を越えないようにする(信頼度レベル5,推奨グレードC)。抗生物質を使用することが望ましい(信頼度レベル5,推奨グレードC)。頭蓋内圧亢進に対してひろく受け入れられている標準化された治療方針というものはないが,表3に示すように頭蓋内圧のコントロールを段階的に進めていく。長期間過換気を続けることが,頭蓋内圧に対し,どのような効果をもたらすかはまだ解明されていない。理論上は過換気による頭蓋内圧の減少効果は髄液のpHが平衡状態となったときに消失するはずである。実際にはこのようなことは何時間経過しても生じないかもしれない。なかには長期の過換気が脳の水分量に有効に働くと信じているものもいる。浸透圧治療の観点からは急速に通常換気に戻すとリバウンド現象が生じると思われる。そのため,過換気が必要でなくなった場合,pCO2を正常化させるためには,24ないし48時間かけて徐々に通常換気に戻していく必要がある。頭蓋内圧亢進に対して過換気を行う場合,通常pCO2を頭蓋内圧が正常化するまで,30から35mmHgに保っておく。さらに,たいていの場合,患者にはプロポフォール,ベンゾジアゼピン,モルヒネなどのセデーションと間欠的に筋弛緩剤の投与が必要となる。
もし頭蓋内圧の亢進が,表3に示す方法でもコントロールできない場合,バルビツレート昏睡の開始を考慮する。しかしながら,高用量バルビツレート療法はあくまで付随的な治療であり,脳出血患者の標準的治療指針に組み入れられるものではない。短時間作用性のチオペンタールなどは頭蓋内圧を下げるのに有効であることが知られている。これは脳灌流血液量を減少させることによるものと考えられている。バルビツレートは正常脳容量を減少させるだけでなく,脳腫脹をも抑制する。これはおそらく全身性に緩やかな降圧をもたらすためと,ラジカルスカベンジャーとして働くためであろう。高用量バルビツレート療法(安全域は10mg/kg/day程度)の副作用として,低血圧と易感染性がある。低血圧は急速静注の際によく知られた副作用である。全身性の低血圧は主に静脈の拡張,圧反射の低下,交感神経機能の低下によるものである。心臓血管系の副作用は浸透圧治療に伴う脱水により増悪し,心室充満圧の低下をもたらす。脳代謝活性が最低になったかどうかは脳波(持続脳波計を用いる)の徐波化により判断できる。バルビツレートを持続投与しているとある程度効果が減衰してくるため,何度か少量のバルビツレート(0.3から0.6mg/kg)の急速静注を考慮しなければならないことがある。

輸液管理

輸液管理の目標は等量輸液である。中心静脈圧(CVP)や肺動脈楔入圧(PCWP)の理想値は個々の患者によって異なる。もし低血圧の原因の一つに循環血漿量の減少が考えられる場合,CVPを5から12mmHgに,あるいはPCWPを10から14mmHgに維持する。水分バランスを一日の尿量に不感蒸泄量(500+300X体温上昇度)を加えて算出する。電解質(ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム)を定期的に調べ,正常値を維持していく。アシドーシスやアルカローシスは血液ガス測定を基に補正していく。

てんかん発作の予防

てんかん発作はすでに重症の患者に神経損傷が生じたり,神経機能の異常が生じた場合におこり,積極的に治療していかなければならない。さらに,神経系重症患者の10%以上において,痙攣を伴わないてんかん発作が昏睡の原因の一つである可能性がある。脳出血患者では抗痙攣剤(よく用いられるのはフェニトインであり,血中濃度が14から23μg/mlになるよう投与量を決定する)を1ヶ月間使用し,その後治療期間中てんかん発作が生じないことを確認しながら投与量を漸減し,中止するということを考慮しなければならない。このことに関するデータはまだないが,推奨されるべき治療である(信頼度レベル5,推奨グレードC)。

体温管理

体温は正常範囲に維持しなければならない。体温が38.5℃以上の場合,アセトアミノフェン650mgを投与するか,クーリングブランケットを使用する。発熱している患者や感染徴候のある患者では培養検査(気管分泌物,血液,尿)を行い,抗生物質を投与する。脳室ドレナージが施行された患者においては髄液検査を行い,必要であれば抗生物質の投与を行う。

その他の内科的管理事項

不穏患者や昏迷患者の多くは動揺しているものである。過動は患者を始め看護サイド,家族をも追いつめてしまい,自傷のおそれもある。精神面でのサポートが十分でなければ,マイナートランキラーザーやメジャートランキライザーを慎重に投与する。短時間作用型ベンゾジアゼピンやプロポフォールが進められる。そのほか,必要であれば鎮痛剤,向精神薬を追加する。用量,用法はその状態に応じて決定していく。
肺塞栓症は,とくに片麻痺の寝たきり患者において,回復期によく遭遇する重大な合併症である。入院中はエアーマットなどを使用することで肺塞栓症の危険性を減らすことができる。
患者の状態に応じて理学療法,言語療法,作業療法をできる限り早期から始めていく。

脳出血の外科治療

脳出血の外科治療の目的は手術による脳損傷を最小限に押さえながら,できる限り多くの血腫を,できる限り早急に取り除くことである。さらに可能であれば,出血の原因となった動静脈奇形なども同時に摘出し,また水頭症や血腫によるmass effectといった合併症を防止する。
開頭術は脳出血の手術法として一般的なものであった。開頭術の大きな利点は血腫を取り除くのに十分な視野が得られることである。より完全に血腫を取り除いてやれば頭蓋内圧を低くすることができ,血腫周囲の脳への局所的な圧迫を除去しうる。拡大手術の最大の欠点は,とくに深部出血の患者で,さらなる脳損傷を与える危険性があることである。しかも開頭術による血腫除去の効果は理想からはほど遠いものである。(Broderickら,Zuccarelloら)
脳出血の血腫除去における進歩として,定位的脳手術装置あるいは術中エコーによる血腫部位の確定がより正確になった点,さらに手術手技の向上があげられる。
適切に行われた無作為治験があれば,そのデータを基に臨床の現場において適切な決断が下せるであろう。しかしながら,残念なことに1998年1月までの間に,4つの小規模無作為治験が行われたにすぎない。これまでのほとんどの報告は,多くが日本語での発表であるが,外科的治療群と内科的治療群にバイアスがかかっている。血腫除去に関しての技術的革新も報告されているが,これまでに無作為試験がなされたものはない。

脳出血の外科的摘出における無作為試験

McKissockらはCTのなかった時代に,脳出血180例において,初めての無作為試験を行っている(表4)。現病歴,症状,血管造影所見により脳出血の診断が支持されたものは全て含まれているが,後頭蓋窩の出血が疑われる例は除いている。適応症例は303例あったが,そのうち123例を除外しており,その理由は早期死亡例,急速に回復した例,動脈瘤などが原因の出血例,最初にみた内科医からの手術拒否である。のこる180例の無作為抽出例のうち,9例は出血ではなかった,あるいは後頭蓋窩に血腫があった。発症から24時間以内に手術を施行した患者はほとんどないが,大半は3日以内に手術を行っている。結果は,手術群において死亡例あるいは重度障害例の割合が保存的治療群よりも有意に高かった(手術群:89例中71例(80%),保存的治療群:91例中60例(66%))(信頼度レベル2)。ただし,McKissockらの行った手術手技,麻酔手技,さらにはICU管理面でのモニタリングは今日我々が行っているものとは本質的には異なるものである。
Juvelaらは52例のテント上出血例を手術群と保存的治療群に分け,両者の結果を無作為試験にて検討している。血腫は発症から6時間ないし48時間(平均14.5時間)以内で開頭術により除去している。手術群は保存的治療群に比べ来院時のGCSスコアが低い,大きな深部出血例,脳室内出血例などの傾向があった。しかしながら,死亡率または6ヶ月後の障害度において両者に有意差はみられなかった(手術群:26例中25例(96%),保存的治療群:26例中21例(81%))。
Batjerらは症例を3群(保存的治療例,保存的治療と脳圧モニター留置例,外科的血腫除去例)に分けて無作為治験の結果を報告している。ここでは径3cmを越える被核出血により症状を呈している患者のみを検討しており,全例発症より24時間以内に治験にエントリーしている。この治験では21例の症例があったが,6ヶ月後に発症前の状態にまで回復できた例はなく,4例のみが,家庭で自立した生活ができるようになった。6ヶ月後の時点で死亡した,あるいは植物状態となった例は手術群8例中4例(50%)で,他の2グループの結果(保存的+脳圧モニター:4例中4例(100%),保存的のみ:9例中7例(78%))と比べても有意差はなかった。ただし,この治験は症例数が乏しく,またそれぞれの群の予後があまりにも不良であったため,中止となっている(信頼度レベル2)。
Auerらは保存的治療と血腫を内視鏡的に摘出した場合とを比較している。症例は30歳から80歳までで,血腫が10cm3を越え,発症より48時間以内に治療と血管造影を行っている。また出血の原因となる血管性病変を持っているものは除いており,全身状態から手術に耐えうるものを選んでいる。脳出血患者は723例あったが,この治験条件に適合したのは100例であった。うち半数の50例に手術を行い,手術は血腫を穿頭下に内視鏡を用いて除去している。内視鏡を挿入した後血腫を人工髄液により10から15mmHgの圧で持続洗浄し,血腫塊と血性髄液とが混ざり合ったものを一定時間おいて吸引し血腫を除去している。血腫壁からの細かな出血は内視鏡にレーザーを装着して凝固し,全ての操作を直視下に行った。この方法により凝結塊の90%以上が除去できたのは15%で,70から90%除去できたのが29%,50から70%除去できたのが56%であった。6ヶ月後の評価では,手術群(42%)の方が保存的治療群(70%)に比べ,死亡率は有意に低かった(P<0.01)(信頼度レベル2)。また予後的な面からも手術群の方が,神経症状がないか,あっても軽いものであった(信頼度レベル2)。50cm3を越える容積の大きな血腫を作った患者では,手術によりQOLの改善は望めなかったが,死亡率は有意に低いものであった。これとは対照的に,小さな血腫では内視鏡的血腫除去により,保存的治療よりもQOLは改善されたが,2ヶ月後の死亡率は両者に差はなかった。手術により有効性が得られたのは,主として60歳未満の脳葉型出血の患者であった。
脳出血の早期手術に関しての小規模無作為試験が,最近2つ報告されている。Morgensternらは脳出血患者に対して標準的開頭術と保存的治療とを単一施設無作為試験(STICH Trial)にて比較している。手術は発症から12時間以上経過してから行っている。ここで含まれる症例はテント上出血例で,血腫容積が10cm3以上でGCSスコアが5から15のものである。この試験で34例集まったが,そのうち17例に対して開頭手術により血腫を除去した。この17例で手術時間は3.75時間から26.1時間(平均8.3時間)であった。これによる,6ヶ月後の死亡率は手術群17.6%,保存的治療群23.5%であり,両者に有意差はみられなかった。また生存例の6ヶ月後のBarthel indexにおいても両群で差はなかった。しかしながら両群で血腫の部位は均等ではなく,手術群では脳葉型出血が17例中1例(6%)であったのに対し,保存的治療群では17例中7例(41%)が脳葉型出血であった(P=0.04)。
M.Zuccarelloらもまた同様の治験を行っている。彼らは発症から24時間以内に治療を開始し,症例が得られてから3時間以内に手術を行っている。この治験では20例の脳出血患者が含まれており,それらはCTにて10cm3を越える血腫で,GCSスコアが5から15のものである。手術群で脳表にまで達する大きな出血には標準的開頭術を行い(6例),深部出血に対しては定位的にウロキナーゼを血腫腔に注入する方法で血腫除去を行った(4例)。
これら10例は発症より平均8.6時間(25から75%の信頼区間で5.2から12.2時間)で手術室に入っており,発症時と24時間後のCTを比べると,血腫は平均35cm3から平均16cm3に減少しており,44%(25から75%の信頼区間で14から76%)の縮小であった。手術群の44%が3ヶ月後のGCSスコアが発症時よりも4ポイント以上改善しており,保存的治療群の64%と比べてみても有意差はみられなかった。3ヶ月後の結果だけからはNIH Stroke Scaleの平均値は手術群の方がよい結果であった(手術群4例,保存的治療群14例;P=0.04)。定位的脳手術により血腫除去を行った患者の経過は良好(3ヶ月後のBarthel indexが100,100,90,85)であるが,このSTICH trialに関しては症例が均等に分布されていない。保存的治療群は手術群に対し視床出血例が多い(前者3例,後者0例)。また定位的に血腫除去した群の方が開頭術を行った群よりも血腫が小さい。
これら2つの治験から超急性期手術が脳出血に適していることがわかる。Zuccarelloらの報告では定位的脳手術が今後の治験での手術の一法となる可能性を示している。しかしながらこれら2つの結果並びに過去4つの結果からも,現段階で手術により血腫を除去することがよいかどうかの明確な判断はできない。

外科手術に対する非無作為治験;開頭手術

開頭術と保存的治療との非無作為治験がこれまでに数多く報告されているが,これらの治験では多種多様の治療法が行われている。
小脳出血に対する非無作為治験では大出血(3cm以上)または脳幹圧迫や水頭症を伴う出血の患者に対して外科手術により良好な結果が得られたとしている。こういった患者に対しては保存的に管理するだけでは,ときとして予後不良となることがある。脳幹を圧迫していない小さな小脳出血では内科的管理で良好な結果が得られている。これらの結果から,脳神経外科医ならびに神経内科医は,脳幹圧迫あるいは第4脳室の閉塞を伴う小脳出血ではできるだけ早期に手術をすることを提唱している。臨床症状が悪化している大きな脳葉型出血の若年患者も,逸話のような経験則に基づいて手術的に血腫を除去することが推奨されてきた。原発性の脳幹出血あるいは視床出血に対して標準的な開頭手術を行うことはたいていの場合術後成績が悪いため,行われなくなった。
1980年代に金谷と黒田により,被核出血に対して保存的治療と外科的治療の評価に対する大規模非無作為治験が行われた。7010例の患者のうち3635例が保存的に,3375例が外科的治療を受けた。意識が清明あるいは不鮮明程度の患者の大多数が保存的に治療され,それは保存的治療群の56%に相当する。しかしながら外科的治療患者のうち25%がこの範疇に含まれていた。意識が清明あるいは不鮮明程度の患者の死亡率は保存的治療群の方が外科的治療群よりも有意に低かった(信頼度レベル3)。しかしながら意識が昏迷あるいはそれ以上に悪い例では外科的治療群の方が有意に死亡率が低かった(信頼度レベル3)。

非無作為治験:新しい手術アプローチ

金子らは被核出血100例に対して症状出現から7時間以内に(60例は3時間以内)に血腫除去を行った結果を報告している。各症例とも発症時のGCSスコアは6から13で,明らかな片麻痺を伴っていた。患者のほとんどは血腫容積が20から30cc以上で,5mm以上のmidline shiftを認めた。手術は開頭を行い,transsylvianあるいはtranstemporal approachで行っている。どちらのアプローチで行うかは血腫の大きさと部位により決定した。症状が軽いあるいはGCSスコアが5以上の例は保存的に治療している。この結果,6ヶ月後の成績は7例(7%)が死亡,15例(15%)は完全寛快,35例(35%)は日常生活での介助不要なレベルにまで回復した(信頼度レベル4)。
穿頭血腫除去術は開頭術に比べ比較的低侵襲で,合併症の発生も少ないが,初期の検討では血腫に対してターゲットの位置が悪かったり,十分に血腫を除去することができなかった。
1978年にBacklundとvon Holstが特別なカニューレを開発し,CTガイド下の定位的脳手術による血腫除去を行う新しい手術法を報告した。その後様々な種類の定位的脳手術装置が開発された。血腫を破り除去する技術の革新のなかにはカニューレ内に挿入するアルキメデススクリューや特殊設計された超音波破砕吸引装置,特殊設計の内視鏡,改良型ヌクレオトーム,2方向からの吸引,術中CTモニタリング,および部分的に除去された血腫腔内への反復的線溶剤投与がある。術中エコーも血腫部位の同定に用いたり,リアルタイムに血腫がどれだけ除去できたかを知るうえで有用である。これらの非侵襲的定位的吸引法は脳内のどの部位に血腫があっても使用することができる。
金谷と黒田の報告によれば,術後再出血は開頭術で10%,CTガイド下吸引術で5%,エコーガイド下吸引術で6%にみられたという。エコーガイド下吸引術で血腫の平均81%が除去できたのに対し,CTガイド下では71%であった。血腫除去率と手術時期との相関はみられなかった。
様々なCTガイド下吸引術が報告されており,その中には線溶剤注入も含まれているが,術後数日間で除去できていた割合は,平均して30から90%といわれている。線溶剤を用いず血腫吸引を行った896例での再出血率は0から16%(平均5%)であった。線溶剤を用いた392例での再出血率は0から10%(平均4%)であった。
もっとも一般的な線溶剤の投与法はウロキナーゼ6000単位を,血腫腔内に留置したカテーテルより1日1回ないし2回投与し間欠的にドレナージするという方法である。この方法は血腫の大部分が除去されるまで数日間続ける。線溶剤の使用に関しては発症から数時間で投与する場合,数日経てから投与するよりも血腫除去効率が悪いという報告もある。脳室内出血例でも線溶剤の投与により効率よく血腫を除去できる。

脳出血の外科手術:まとめ

手術を行うかどうか,また行うとすればどの時期に行うかは依然議論の多いところである。表5に文献を参考に我々の考える現段階での推奨事項を挙げる。血腫が小さい(10cm3未満)あるいは症状が軽微な場合は,保存的治療のみで徐々に症状の改善を認めるため,保存的に治療すべきである(信頼度レベル2から5,推奨グレードB)。GCSスコアが4以下の場合も,手術をしても死亡するあるいは重篤な後遺症を残す可能性が非常に高いため,保存的にみるべきである(信頼度レベル2から5,推奨グレードB)。径3cmを越える小脳出血で神経学的症状の増悪を認めたり,脳幹圧迫および脳室の閉塞による水頭症を来している場合,できる限り早期に手術的に血腫除去を行わなければならない(信頼度レベル3から5,推奨グレードC)。中等度の大きさの小脳出血に対する定位的血腫除去は標準的開頭術よりも手術成績がよい可能性があるが,この仮説は無作為試験により確かめられていない(推奨できない)。大きな(50cm3以上の)脳葉型出血の若年患者で経過観察中に増悪傾向を認めるときはしばしば血腫除去術が行われる。しかしながら,その有効性はAuerらにより内視鏡手術に関する小規模試験で確認されたにすぎない(信頼度レベル2から5,推奨グレードB)。動脈瘤や血管奇形といったものが原因の脳出血に対しては,手術により改善が認められる可能性があり,病変部が手術的に到達可能であるならば,血腫除去術を行うほうがよいかもしれない(信頼度レベル3から5,推奨グレードC)。局所的に手術侵襲を最小限にとどめる方法での超急性期血腫除去術は有効であるだろうが,その有効性が確認されているものではない(推奨できない)。

脳出血の予防

脳出血は重篤な後遺症を残したり,致死的となりやすいうえ,決定的な治療法がないため,その予防が最も重要である。最近まで疫学的調査および臨床試験は脳卒中をタイプ別に分けて行っていなかった。脳卒中の危険性を減らすために様々な治療や生活習慣の改善が有効であるというデータは数多く出されているが,それらが脳出血に対しても有効がどうかはわからない。

血圧コントロール

軽度あるいは中等症の高血圧を治療することにより中年および高齢者における脳卒中の危険性を36%から48%にまでに減らすことができる。残念ながらこれらの治験には,脳出血の発生に影響があるかどうかに関してのデータはほとんどない。唯一the Systolic Hypertension in the Elderly Program Study (SHEPS)においてのみ,高齢者の収縮期高血圧を治療することで脳出血の発生を50%までに押さえられると報告されている。決定的証拠がないにもかかわらず,これらの治験の結果と,脳出血患者に高血圧が高率に認められることから,高血圧の治療がおそらく脳出血予防にもっとも効果があると考えられている。

その他のリスクファクター

Framingham Studyからの最近の報告では普段フルーツや野菜をよく摂取している方が,出血を含めて脳卒中に罹りにくいという。禁煙は虚血性発作やクモ膜下出血を含めて様々な病気の予防において重要であるが,介入的または観察的コホート研究において禁煙が脳出血のリスクを低下させるとは証明されていない。過度のアルコール摂取は脳出血の潜在的リスクファクターであるため,アルコール摂取量をコントロールすることは理にかなっているが,推奨事項として証明されているわけではない。コカインや他の交感神経刺激薬の使用量を減らすことで脳出血の発生は減らすことができる。最後に以上のほかに脳出血を予防する2つの方法はワーファリン治療を受けている患者の凝固機能を細かくモニターすることと,注意深く患者を選択することである。抗凝固療法を受けている患者の脳出血率はINRが3を越えると増加する。心筋梗塞あるいは急性期虚血性卒中患者の血栓溶解を行う際は,患者の選択に注意することで,脳出血の危険性は減らすことができる。

脳出血の予防:まとめと推奨事項

  • 1.高血圧の治療は脳出血による後遺症,あるいは死亡を減らすもっとも効果的な方法である(信頼度レベル1から2,推奨グレードA)。
  • 2.ワーファリン治療中の患者は凝固機能を注意深くコントロールすることで,二次的な脳出血を減らすことができる(信頼度レベル1,推奨グレードA)。
  • 3.急性心筋梗塞あるいは急性期虚血性卒中患者の血栓溶解を行う際は,患者の選択に注意することで,脳出血の発生を減らすことができる(信頼度レベル1,推奨グレードA)。
  • 4.フルーツと野菜の摂取を増やし,過度のアルコールや交感神経刺激薬の使用を避けることで,脳出血の危険性は減少する(信頼度レベル3から5,推奨グレードC)。

今後

いかなる内科的あるいは外科的治療も,脳出血に効果があるかどうかはいまだ大規模治験で証明されたものはない。我々は虚血性卒中患者が血栓溶解療法の候補であるように,脳出血患者においても超急性期治療が重要となってくると考えている。脳出血の内科的あるいは外科的治療における治療開始までの猶予時間を決定するためには動物実験が必要である。随伴する脳障害あるいは再出血を最小限にとどめ,早く血腫を除去できる外科的手技に関しての調査は続けなければならない。将来大規模多施設無作為治験により超急性期に血腫を除去し積極的な内科的治療を組み合わせることで,現在以上に脳出血患者の長期予後が改善されるということが示されるよう期待する。